![](https://wakufinder.tv/wp-content/uploads/yoshida.png)
ソリューション事業局 マーケティングソリューション部
吉田 正寛
個人最適はマスメディアである「テレビ」でも??
コロナ禍によるニューノーマルが加速する 中、従来のメディアプランニングが通用しない というテーマをよく見かけるようになりました。特に、デジタル広告に限らず様ざまなメディア で、ターゲットに最適に出稿する「個人最適」に 鑑みたプランニングが求められています。マス メディアも例外ではなく、テレビでもこうした 考えに基づいた分析が盛んになってきました。
分析で導き出した最適なテレビ出稿枠を、テレ ビ局各社が展開している「Smart Ad Sales」(ス マート・アド・セールス)を通して買い付け・申し 込みができる仕組みも登場し、分析を実際のア クションにつなげることが可能になっています。
このように、テレビ出稿枠の「個人最適」に関心が高まる背景には、それを実現するデータが揃い始めている点も大きいといえます。
“率”だけじゃない、テレビ枠の“質”的最適という概念
「個人最適」の文脈では、主に広告の「リーチ」がフォーカスされます。リーチはテレビ出稿枠の価値を量的に捉えたものですが、質的観点も必要と考えています。広告効果も同様で、リーチは効果の一要素であり、接触したときの「態度変容」も効果を構成する要素です。態度変容は、テレビ出稿枠の質的な価値評価において重要であるといえます。
態度変容に関して、これまでメディアごとの役割の違い(メディア・エンゲージメント※)の観点から研究を行ってきましたが、これを発展させ、直近の研究ではテレビの時間帯別・番組別の広告価値を、態度変容の観点で検討するデータ分析について研究を進めています。しかし、同じ番組や時間帯であっても視聴者は変化し先週の視聴者が今週の視聴者と入れ替わることを考えると、常に同様の効果が期待できるとは限りません。従って、テレビの時間帯別・番組別の広告価値分析は動的データで行う必要があります。そこで活用するデータはResolving LABが保有する視聴ログデータです。今回は視聴ログデータを用いて日々変化するテレビコンテンツ視聴者の態度変容を分析することで、テレビ枠の「個人最適」を考えてみます。
“質”的側面である態度変容から枠の広告価値を可視化する
ここではテレビ番組別の視聴者でテレビCMによる態度変容の違いをみることで、テレビ出稿枠の価値を可視化します。
Resolving LABの視聴ログデータには、「ACR/ex」の生活者意識属性が紐づいています。
今回は関東地区のデータを用いて、ある情報発信系番組の各回視聴者の態度変容の違いを分析しました。2020年10月の放送のうち、番組のメインターゲットと考えられるF1(女性20-34歳)の個人視聴率が近い結果であった3回分(10月の#2~#4)とし、態度変容は、「商品やサービスの内容が理解しやすい」と「広告の内容についてブログやSNSに書き込みをする」の2指標を用いました。
【図表1】では、各態度変容のスコアを3回それぞれのF1視聴者で比較したものです。いずれの場合も#3の放送回視聴者でCMへの反応がより期待できることがわかります。コンテンツの内容を比較すると、#3の放送内容は「プロのテクニック」に焦点を当てたものであった一方、#4は基本的な内容の振り返りに焦点を当てた内容であるという違いがありました。#3では、テーマがより深いものだったため情報感度の高い視聴者が集まったと考えられ、結果CMへの反応がよい視聴者が集まっていたといえます。このように、コンテンツによって広告への態度変容が変わることがデータに現れています。
期待できる推定効果から枠を探す
同じ番組でも放送回によって態度変容は異なり、コンテンツと連動することが示唆されました。しかし、実際の出稿枠を考える場面ではすべての番組でそれをみていくことは負担が大きいと感じられた方も多いでしょう。そこで簡易的に、時間区分のタイムテーブルで確認していきます。
【図表2】の【B】は先ほどの番組が放送されている局の10月(2020年9月28日(月)~2020年 11月1日(日))のタイムテーブルで、各時間区分のFl視聴者における態度変容「広告の内容についてブログやSNSに書き込みをする」の結果をまとめたものです。各時間区分枠の結果は、70月の5週間の平均を記載しています。例えば月曜日5:00の枠は70月に5回存在しますが、それぞれの回でFl視聴者の態度変容を算出し平均した結果が12.2%であることを意味します。
これをみると、高い枠では15%に迫る一方低い枠では70%強であり、時間帯によって態度変容は異なることがわかります。さらに冒頭の例のように、結果の領向は分析タイミングや分析ターゲット、態度変容の項目によって変化します。同じ番組、同じ時点であっても日々変化する動的データで捉えることで広告効果を高めることができるといえるでしょう。
ターゲット別推計効果から最適化を考える
最後に、「リーチ」と「態度変容」を掛け合わせた「推計効果最適」をデータ分析からご紹介します。
【図表2】の【A】は、従来の「個人最適」でよくみられるF1視聴率データ(「リーチ」)ですが、これに先ほどの【B】の「態度変容」を掛け合わせることで、「推定効果」を算出したのが【C】です。
図表【A】と【C】は、スコアの高い上位20枠に色付けをしていますが、【A】のF1視聴率データと【C】の推定効果は必ずしも一致しません。つまり、テレビの出稿枠の広告効果を考える際は、リーチの個人最適だけでなく態度変容最適も加味する必要があるといえます。
今回は、関心が高まっているテレビ出稿枠の最適化を、「態度変容」の観点から考える分析を紹介しました。生活者の多様化とともに広告への反応も一様ではありません。かつてはサンプル数の問題からこうした分析が困難でしたが、視聴ログデータを活用することで、今回のような詳細な条件に基づいた分析が可能になってきました。
今後さらに、番組や時間区分という「コンテンツ」の観点からプロフィールを描くことで、きめ細かい広告価値の可視化が一般的になるでしょう。さらなるテレビデータの活用にむけて、リーチだけではない「態度変容」の観点からも、最適化を検討されてはいかがでしょうか。
☆ビデオリサーチのレポート・コラム「VR Digest+」は こちら から
枠ファインダでテレビCMの悩みを解決!
- 少ない予算でもテレビCMを出稿したい!
- ほしい枠を指定して購入したい!
- テレビCMを出稿したことがなくて不安
- 具体的な出稿は決まっていない
- 出稿ターゲットに合う枠をさがしたい
- 時間をかけずに枠を購入したい